発症してから長い期間にわたって付き合うことになるのが、認知症の特徴です。高齢者自身にとっても家族にとっても初めての症状ばかりであるため、試行錯誤しながら認知症を受入れていくことになります。そのため介護士は、彼らの戸惑いを理解しながら対応する必要があるのです。
認知症の症状には、中核症状・周辺症状という2種類があります。中核症状とはすべての認知症患者にみられる症状であり、判断力や理解力の低下、記憶障害、現在の時間や場所が分からなくなる見当識障害などが挙げられます。これは脳細胞の破壊に伴い、脳機能が低下することで現れる症状です。その一方で周辺症状の場合、すべての患者にみられるわけではありません。性格や周囲の環境などが関係しており、症状の有無や、発現する症状の種類は人によって異なります。よくみられる症状としては、徘徊や妄想、暴力、暴言などです。
このように中核症状と周辺症状が様々なパターンで組み合わさり、1人1人の症状が生まれるため、それぞれの個性に応じた対応法が重要です。そのため対応にあたってのポイントは、マニュアルに頼り切るのではなく、高齢者個々の症状や状況に応じた対応を周囲の人と一緒に模索していくことです。
また認知症になったばかりの高齢者は、自分の身に起きていることが理解できず、混乱したりヒステリーを起こしたりする可能性があります。頭ごなしに叱るのではなく、相手の抱える不安を理解したうえで、冷静な振舞いをすることもポイントです。こちらの苛立ちや怒りが相手に伝われば、状況が更に悪化してしまうため注意しましょう。また、高齢者への対応に悩んだときには、【高齢者への対応は「思いやり」をもって】などの情報サイトを読んで有効な対応方法を探すことも重要です。